2019年7月に、QRコード決済利用動向調査が行われました。担当したのはMMD研究所というところです。各種○○Payが乱立し、還元まつりと事故が入り乱れて統一がなされていないQRコード決済の世界。そのなかで、もっとも利用者満足度が高いのがメルカリ社のメルペイだということがわかりました。

では、なぜPayサービスのうち、メルペイがもっとも満足度が高いのでしょうか?

メルカリとは?

メルペイは、メルカリが出しているQRコード決済サービスです。メルカリは御存知の通り、日本中に行き渡ったセカンドマーケット(二次流通)アプリです。従来、ヤフーオークションやモバオク!など、デフレが進む日本には、セカンドマーケットにポテンシャルがあることは明らかでした。しかし、なんせセカンドマーケットは客層が著しく悪いという欠点があります。値切り交渉、約束を守らない、梱包がだらしない、交換した個人情報が悪用されるなど、さまざまな欠点が浮き彫りになり、利用者同士で消耗するという構造になっていたのが、ゼロ年代のフリマ市場でした。

しかし、メルカリはこのユーザー層の悪さを仕組みで解決しようとしています。評価欄で延々と喧嘩するのを避けるため、お互いに評価しあわないと相手が「非常に良い」「普通」「非常に悪い」のうちどれをつけたかわからないのが特徴です。

また、住所も匿名化されており、郵便局やコンビニでQRコードを差し出すだけで、宅配業者が、ユーザーのメルカリに登録した住所へと品物を運んでくれる仕組みです。特に郵便局はメルカリとの連携に協力的で、ゆうちょの各支店にQRコードを読み取る機械を設置しています。アプリの取引ページのQRコードをピッと読み取るだけで、ラベルが印刷されますが、それでもまだ都道府県だけで相手の住所はユーザーにはみえません。宅配業者のみが住所を知るので、匿名性が極めて高く、それらも取引総量のグロースに貢献しました。

メルペイの魅力とは?

そして、鳴り物入りで登場したのがメルペイです。従来、メルカリは売上金をポイントへと換金し、アプリ内で買い物に使うことができたのです。しかしメルペイはその売上金をリアル社会、実店舗で使えるようにしたのが最大の特徴です。つまり、本や古着を売ったお金で、直接コンビニや飲食店でおにぎりが買える、そんな仕組みをもたらしたのです。

今回、ユーザー利用の満足度がトップだった理由として、メルペイそのものの利便性もあるでしょうが、メルペイは売ったお金で実店舗で買い物できるというユーザー体験そのものが、高い評価を受けているのではないでしょうか。

なぜなら、他のペイは、チャージにクレジットカードを必要とします。これはセキュリティの問題もありますし、決済インフラを開発するためのコストも莫大にかかります。実際、セブンペイはこれで大失敗をしてしまいました。

令和元年8月の時点で、メルペイはクレジットカードが使えません。アプリ内に貯めたお金で買い物して欲しいという開発陣の意思の現れと取ることができます。

各種Payの野望

今後、各種Payは統合されることが予想されます。キャッシュレス市場は今、空前の盛り上がりを見せています。しかし、重大インシデントも発生し、世界中のハッカーから狙われているのも事実です。そんな中、クレジットカードを登録させないという慎重なスタンスであるメルペイに評価が集中するのは必然だったのではないでしょうか。

当面、メルペイは目標としてメルカリアプリ内にたまったお金を吐き出させることに注力すると思われます。そして、どこのPayが飛び抜けるにせよ、その先には新しい信用の形がまっていることでしょう。

参考:

QRコード決済総合満足度1位は「メルペイ」、利用率上位6サービスを比較【MMD研究所調べ】(Web担当者フォーラム)
https://webtan.impress.co.jp/n/2019/07/19/33414