中国には無人コンビニが多数存在します。

日本も、ローソンが先行して深夜に無人コンビニを出すと予定されています。

 

無人コンビニと聞くと、経営者のみなさまは「盗難が心配」と思われるのではないでしょうか。それはもっともです。不断のマナーに関係なく、「みられている」という意識が働かない無人コンビニでは、ちょっとした出来心が起きがちです。

 

万引きは、商店をつぶすほどの損害を与える場合があります。

ただ、お店側としてもひとりのお客様をずっと見張っているわけにも行かず、同時にあまりジロジロみられるとお客様の側も監視されている気分となって気持ちよく買い物してもらえません。

 

そこで、中国の無人コンビニはどのように盗難を予防しているのでしょうか。それは、カメラとID確認と、アリペイの芝麻信用(ジーマ)という仕組みです。

 

無人コンビニでは入店時にIDをかざす必要があり、それによって人物を特定します。そこで万引きが発生したら、アリペイの決済アプリが入った本人のスマホに、精算せずに退店しているという通知と、警告があらわれます。

 

警告は、精算しないのであれば公安に通報するという旨のものです。厳しいですが、万引きには毅然とした態度で対応しないと、情に流されていては犯罪を繰り返してしまうだけです。無断退店は、精算か通報か。その二択を万引き犯に選ばせるのです。

 

仕組みがわからないとか、うっかりとか、そうしたことは起こりえますので、その場合もアリペイでリモート決済して終わりです。仮に通報されてもいいから精算はしないというのであれば、それは公安が登場し、同時にジーマ信用が働いて、アリペイが使えなくなるのです。

 

中国の方にとって、アリペイが使えなくなることほど痛いことはありませんから、これが抜群の犯罪対策になるのです。倫理観やモラルや道徳教育に頼らなくとも、仕組みで犯罪を防ぎ、良い行動を取ることで得をするというインセンティブが働くということになります。

 

この仕組みのパワーは大きく、中国人のマナー全体を向上させるほどの力があるといわれています。倫理やモラルに問いかけるのではなく、仕組みで解決すること。これがアリペイの大きなパワーであり、こうした仕掛けによって、アリペイは中国人の行動原理すら変えようとしているのです。

 

万引きは仕組みで解決。ここから得られる知見は大きいのではないでしょうか。