クレジットカードとアリペイの大きな違いを、別の角度からみていきます。それは、信用のあり方が異なってくるのです。そもそも信用とはなんでしょうか。
信用とは、いってしまえば「期日までにお金を払う約束」のことです。借りたお金を、期日までに金利をつけてちゃんと払うこと。それこそが社会的信用の原点となります。どれだけ立派な口ぶりでも、期日に入金しない人は信用されません。また、貸す側も、立派なことをいいながら期日に入金しない人を信じてはいけないのです。
よって、「信用=期日までにお金を払うこと」という観点で考えたとき、クレジットカードは利用して何日か経ってから、引き落としがあります。その引き落とし日までにきちんと入金すると、どんどん信用が貯まっていきます。
たとえば、クレジットカードの限度額が増えていくでしょうし、ほかにも、クレジットカードのランクがあがって、社会的ステータスが増えたようにみえることも。
では、アリペイは信用をどうとらえているのでしょうか。
アリペイは、信用が横倒しになったものです。個人間決済としてスタートし、小規模な事業主などがアリペイを利用します。そして、アリペイは従来型のクレジットカード的信用では、カードを持てなかった人たちにアクセスし、新しい信用の形を生み出したのです。
インターネットで横型の信用ができ、縦に、企業や信用情報機関からもらっていた決済の形が、横型のフラットな信用に変わったのです。これが非常にインターネットらしい仕組みであり、人に広く使われる理由がご理解いただけるのではないでしょうか。
このように、アリペイはインターネットが成熟するにあたって、出るべくして出てきた決済の仕組みだといえるでしょう。そして、もっともインターネットの検閲が厳しく、民主化とはほど遠い存在である中国という国で、アリペイが発展したことは非常に興味深い現象です。